MIME-Version: 1.0 Content-Location: file:///C:/FDEC9F08/file2856.htm Content-Transfer-Encoding: quoted-printable Content-Type: text/html; charset="us-ascii"
急性心不全
Heart failure
高野照夫 日Ĉ=
12;医科大学教授・集中=
治療室
-----------------------------------------=
---------
心不全とは,ও=
5;拍出量が低下し,各&=
#37325;要臓器や末梢組織=
395;対する血流需要に応=
;じられなくなった状=
24907;と定義される.心ĭ=
42;患の初期では,臨床=
症状の認められない=
7573;階があり,それはও=
5;臓の器質的障害の程&=
#24230;が軽度で代償機構=
364;十分に働いているた=
;めである.
代償性心疾患ӗ=
2;非代償期の心不全と&=
#12434;分ける基準はない=
364;,日常生活の活動や=
;運動労作が制限され=
65292;生活管理・薬物療Ė=
61;が必要となる段階を=
心不全とするのが妥=
4403;である.すなわちও=
5;疾患発生から代償期&=
#12434;経て,心不全の諸=
151;状が顕在化する非代=
;償期を心不全とみな=
12375;てよいことになるʌ=
94;
したがって,NYHA心機能分類に=
2362;けるclass Ⅰは代償期に=
65292;class Ⅱ・Ⅲ・Ⅳは&=
750;代償期にあるとして=
;よいが,生活管理や=
34220;物療法によりclass Ⅰにあるもの=
12399;心不全の範疇にあ|=
27;と考える.
急性心不全はᦁ=
2;発症様式により急性&=
#30330;症型と急性増悪型=
392;に分類される.
前者は,急性ও=
5;筋梗塞による心不全&=
#12395;代表されるごとく=
361;然に発症するもので=
;,慢性心不全と異な=
12426;循環系の適応によ|=
27;代償機転が不十分で=
あり,至適治療域が=
9421;く,その治療に緊ঝ=
3;性が要求される.
一方後者は,ঀ=
1;膜症などの慢性心疾&=
#24739;で,従来より経過=
398;長い慢性心不全が増=
;悪因子・誘因により=
12399;じめて急激な代償Ç=
81;全に陥り,悪循環が=
発生するので,その=
2240;子の除去の治療がও=
7;要となる.したがっ&=
#12390;,その治療にあた=
387;ては原因疾患の診断=
;はもちろんのこと増=
24746;因子にいついてもÕ=
13;分考慮する必要があ=
る.
急性心不全でӗ=
9;,病態が短期間に変&=
#21205;する可能性が高い=
383;め,迅速な治療が要=
;求される.
病態
心拍出量が減ऴ=
9;すると,心機能を維&=
#25345;すべく種々の代償=
231;序が働く.このよう=
;な状態においては末=
26786;の静脈と動脈が収Ń=
02;し,前者は静脈還流=
量を増大して心拍出=
7327;を増加,また後者ӗ=
9;血圧を上げて各臓器&=
#34880;流を維持しようと=
377;る.しかしそのため=
;左室駆出抵抗(後負荷)=
2364;過大になり,左室ฐ=
0;荷がかかり心拍出量&=
#12399;さらに低下し,肺=
490;環系にも異常を来し=
;て肺うっ血が著明と=
12394;る.
〔ポイント〕 ö=
13;性心不全および慢性=
心不全の急性増悪の=
6412;態は,肺うっ血と߮=
2;心拍出量であり,特&=
#12395;後者では肺うっ血=
151;状が前景にある.
症状と診断
①自覚症状:労=
;作性・夜間発作性の=
21628;吸困難,起座呼吸|=
34;示す.
②理学的所見:=
;肺野湿性ラ音,第Ⅲ=
8899;聴取. ③胸部X線写=
;真:肺うっ血像を認=
12416;.
④心血行動態:=
;肺毛細管圧17mmHg以上,心係数<=
span
lang=3DEN-US>2.0l/分/m2 É=
97;下.
心不全の症状ӗ=
9;,咳嗽,安静時呼吸&=
#22256;難,発作性夜間呼=
560;困難,心臓喘息,急=
;性肺水腫,心原性シ=
12519;ックであり,これ|=
25;は主に左心不全症状=
である.
一方,急性右ও=
5;不全では頸静脈怒張&=
#65292;浮腫にて発症するA=
294;
心不全の諸指標ӗ=
2;治療目標
心疾患の治療ӗ=
8;基本は,原因疾患に&=
#23550;する根本的治療で=
354;る.
しかし,慢性ও=
5;不全増悪期に弁置換&=
#34899;などを行うことは=
517;ずしも容易でない.=
;それゆえ,初期治療=
12391;は増悪因子を除去{=
75;,それによって悪化=
した血行動態の改善=
2434;はかることを優先ӕ=
7;る.ついで血行動態&=
#12434;はじめ臨床諸症状=
364;安定した後,原因疾=
;患の治療を行う.
一方,急性心=
3;梗塞に伴うポンプ不&=
#20840;(ショック,心ߎ=
1;全)に対して,PTCAなどによる早期=
0877;潅流療法は救命的=
5;療法である.
急性心不全(急性発症型)および慢性心ߎ=
1;全の急性増悪の治療&=
#12399;,それらの病態が=
997;めて短時間に変化す=
;るので,これに対応=
12377;べく厳重なモニタ}=
22;ングが要求される.=
この時は表1[表]左に=
31034;す心不全の臨床症ĥ=
66;と血行動態の諸指標=
のモニタリングを行=
2356;ながら,表1[表]右側=
12398;治療目標に向かっ{=
90;治療する.なお表中=
の末梢低潅流所見と=
2375;ては,四肢冷感,ࠫ=
9;汗,チアノーゼ,意&=
#35672;障害,乏尿などで=
354;る.
重症度の判定
急性肺水腫はঽ=
0;性心不全の急性増悪&=
#12420;急性心筋梗塞急性=
399;によくみられ,心不=
;全が最も進行した状=
24907;で重症である.そ{=
98;症状は,突然に出現=
する呼吸困難が特徴=
2391;,喘鳴,起坐呼吸ӛ=
4;呈し,肺野全体に湿&=
#24615;ラ音を聴取し,ピ=
531;ク泡沫状血痰を示す=
;.
急性心筋梗塞ӗ=
1;は理学的所見に基づ&=
#12367;Killip<=
span
style=3D'color:red'>分類があり,=
重症度を表すのに簡=
1336;で普及している.
class Ⅰ:心不全の&=
#12394;いもの,死亡率6%
class Ⅱ:肺ラ音・&=
#31532;Ⅲ音・静脈圧上昇{=
98;軽症心不全,死亡率=
17%
class Ⅲ:肺水腫の&=
#12354;る重症心不全,死=
129;率38%
class Ⅳ:収縮期血&=
#22311;90mmHg以下,末梢循&=
#29872;不全(乏尿・チアノӦ=
0;ゼ・発汗)のショック,િ=
5;亡率81%
と分類されていӚ=
7;.
Forrester's he=
modynamic
subsetも使用されていӚ=
7;.
これは右心カӠ=
6;ーテルによって得ら&=
#12428;た心係数(CI)2.2l/分/m2=
65292;肺毛細管圧(PCWP)18mmHgを境界値と=
2375;て
H(hemodynamic<=
/span>
subset)-Ⅰ:CI≧2.2,PCWP≦18で血行状態にĬ=
64;常のないもの
H-Ⅱ:CI≧2.2,PCWP>18で臨床症状と{=
75;て肺うっ血のあるも=
の
H-Ⅲ:CI<2.2,PCWP≦18で末梢循環不Ð=
40;のあるもの
H-Ⅳ:CI<2.2,PCWP>18で肺うっ血とĈ=
11;梢循環不全のあるも=
の
と分類した.
またこれらのࡦ=
8;群における死亡率に&=
#12388;いても述べられ,H-Ⅰ3%,H-Ⅱ9%,H-Ⅲ23%,H-Ⅳ51%で,&=
#34880;行動態の悪いもの=
411;ど死亡率が高値を示=
;した.
治療の実際
急性左心不全ӗ=
8;治療の理想は原因疾&=
#24739;の根本的治療が求=
417;られるが,これを初=
;期治療で行うことは=
22256;難であり,誘因除Ö=
35;と心不全の病態に対=
する治療を優先し,=
2381;の後原因疾患の治=
4;を行うことを原則と&=
#12377;る.図1[図]に,=
24613;性左心不全の治療û=
63;順を示す.
① 一般療法
(1) 安静(起座位)
(2) 酸素療法
①通常は酸素吸=
;入(2~6l/分,=
フェイスマスクまた=
2399;鼻腔カテーテル
②PaCO2 60mmHg以上,pH低下の呼吸性アシド=
;ーシスの状態では,=
20154;工呼吸器の適応で{=
54;る.
② 軽症左心不全ӗ=
8;治療
(1) 利尿薬
第1選択=
2399;利尿薬で,その利ह=
5;作用によって循環血&=
#28082;量を減少させ,肺=
611;細管圧を低下させ,=
;肺うっ血と低酸素血=
30151;を改善させる.
フロセミドは=
5;効性があり,20~40mgを1回静注する.Ӗ=
1;の後症状および臨床&=
#25152;見に改善がみられ=
394;い場合は,さらに1日3~5回投与する.ま=
12383;フロセミドで効果{=
64;十分でないときは,=
スピロノラクトン(アルダクトンA)50~75mg/日=
434;経口的に用いる.
〔注意〕 フロ|=
75;ミド(ラシックス)の使用時には,=
0;環血液量の減少によ&=
#12427;ショック(特に老人の場ࡧ=
2;)や,電解質異६=
0;に基づく不整脈の出&=
#29694;,さらに耐糖能異=
120;,脂質代謝の悪化,=
;またセフェム系抗生=
29289;質との併用によるŋ=
02;機能障害等に留意す=
べきである.
また,スピロӡ=
4;ラクトン使用には,&=
#34880;清K値上昇,腎機೦=
1;異常に注意して用い&=
#65292;長期間使用では女=
615;乳房が出現する.
(2) 血管拡張薬<=
span
lang=3DEN-US>
肺うっ血を主߮=
7;とする心不全の場合&=
#12395;は,静脈系容量血=
649;に,低心拍出量が主=
;たる場合には動脈系=
25269;抗血管に,両者がę=
51;在する時には両方に=
作用する血管拡張薬=
2434;用いる.
①肺うっ血を主=
;体とするもの
(a)ニトロ&=
#12464;リセリン舌下0.3mg
2%ニト=
12525;グリセリン軟膏0.4~1.0mg/kg,3~6回/日
ニトログリӟ=
5;リン静注1~6mg/時間=
(b)硝酸イ&=
#12477;ソルビド,経口20~40mg/日ᦁ=
2;分4
徐放性硝酸ӝ=
2;ソソルビド,経口60~120mg/日ʌ=
92;分3~4
硝酸イソソӤ=
3;ビド静注,1~6mg/時間=
②低心拍出量を=
;主体とするもの
ヒドララジン༢=
5;注0.5~1.0 μg/kg/分
ヒドララジンಇ=
6;口30~40mg/日ᦁ=
2;分3~4より=
8283;始
③肺うっ血と低=
;心拍出量の両方があ=
12427;もの
プラゾシン経ࡣ=
5;1.5~3.0mg/日A=
292;分3
ブナゾシン経ࡣ=
5;1.5~3.0mg/日A=
292;分3
〔注意〕
①血管拡張薬使=
;用の際は平均血圧〔(収縮期血圧-ৣ=
3;張期血圧)×1/3+拡=
24373;期血圧〕70mmHg以上を保つこ&=
#12392;.
②ジギタリスの=
;使用は以下のとき維=
25345;量を投与する.
(a)心房細&=
#21205;,上室性不整脈の=
512;併例
(b)心拍数<=
span
lang=3DEN-US>110/分以上急性期
(c)尿量増&=
#21152;の目的で使用,あ=
427;いは血圧低下のある=
;例にカテコラミンを=
20013;止するとき,
④心臓リハビリ=
;テーションにより,=
19978;室性不整脈出現例ʌ=
92;心拍数が増加する例=
(110/分以上).
なお急性心筋ੵ=
5;塞の場合でも上記項&=
#30446;の治療の目的で使=
992;する.
しかし発症後3日以後に用いӚ=
7;方がよい.以下のい&=
#12378;れかを用いる.
(a)ジゴシ&=
#12531;0.25mg+5%ブ|=
89;ウ糖20ml静注
(b)セジラ&=
#12491;ド0.4mg+5%ブӠ=
9;ウ糖20ml静注
(c)ジゴキ&=
#12471;ン0.25mg/日 経口
③ 重症左心不全ӗ=
8;治療
1) 急性肺水腫<=
span
lang=3DEN-US>
突然に呼吸困༖=
7;が出現,喘鳴,起座&=
#20301;を呈し,さらに肺%=
326;全体に湿性ラ音を聴=
;取,ピンク泡沫状血=
30192;を認めたとき,急ö=
15;肺水腫と診断する.=
このときモルヒネ静=
7880;はきわめて有用でӓ=
4;る.以下のいずれか&=
#12434;用いる.
①塩酸モルヒネ=
;5~10mg+生=
食水20ml静注.
②ニトログリセ=
;リン0.3mg舌下+フロセ=
12511;ド20~40mg/回༢=
5;注.
③ニトログリセ=
;リン0.1mg静注,その後1~6mg/時点=
滴静注.
2) 難治性心不&=
#20840;
利尿薬,血管ৣ=
3;張薬,ジギタリスな&=
#12393;の経口治療薬を用=
356;ても改善しない心不=
;全で,静注用カテコ=
12521;ミンやアムリノン{=
94;どのホスホディエス=
テラーゼ阻害薬を使=
9992;するものを難治性ও=
5;不全と定義し,図2[図]にそ=
12398;治療手順を示す.
①ドパミン(DA)2~10 μg/kg/分点=
;滴静注.
②ドブタミン(DB)2~10 μg/kg/分点滴静注.
③DAまた=
2399;DB2~10 μg/kg/分点滴静注+|=
91;トログリセリン1~6mg/kg点ଘ=
4;静注.
④DAまた=
2399;DB2~10 μg/kg/点滴静注+硝Ŵ=
40;イソソルビド(ニトロール)1~6mg/kg点滴静注.
⑤アムリノン1mg/kg3~5分{=
63;けて静注,その後5~15 μg/kg/分点滴静注.
⑥アムリノン5~15 μg/kg/分点滴静注.
上記薬物療法ӗ=
5;よっても改善しない&=
#38627;治性心不全に対し=
390;は,図2[図]に示=
12377;適応に準じてIABP,PEEP,ECUMなどの機械的=
7835;療を行う.
〔注意〕
急性心筋梗塞ӗ=
1;はIABPが有用であり=
5292;この使用によってә=
8;胸痛,不整脈,心電&=
#22259;モニターST上昇の反復をේ=
9;めたならば,積極的&=
#12395;冠動脈,左心室造=
433;を施行.PTCA(経皮的冠動脈=
24418;成術),PTCR(冠動=
;脈内直接血管溶解療=
27861;)などの冠動脈ࠧ=
7;建術を行う.なお最&=
#36817;用いられるように=
394;った経皮的挿入可能=
;なポータブル体外循=
29872;装置PCPSも有用である=
5294;
これは大腿静೧=
2;より右心房までカテ&=
#12540;テルを挿入し,遠=
515;ポンプを用い右心房=
;より脱血し,人工肺=
12391;酸素化した血液をä=
23;腿動脈に送血する両=
心バイパスで,IABPの左心機能補=
1161;と併せて,心機能ӗ=
8;回復を期待するもの&=
#12391;ある.
今日の診療プレӣ=
1;アム Vol.13 DVD-ROM版 (C) 2003 IGAKU-SHOIN Tokyo